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「AIを入れれば何とかなる」は危険。介護業界でAIを活用する前に考えたいこと

介護業界でもAI活用への期待が高まっています。 一方で、AIは万能ではなく、使う側のITリテラシーや情報を見極める力も必要です。今回は、介護現場でAIを活用する前に知っておきたい注意点を考えます。
介護業界でも広がるAI活用
ChatGPTをはじめとした生成AIの普及により、介護・福祉業界でもAIを業務に活用しようという動きが広がっています。
AIは、文章作成や情報整理、会議資料の作成、研修資料のたたき台、求人原稿の作成など、さまざまな業務を支援できます。
うまく活用できれば、これまで職員が時間をかけていた事務作業を減らし、利用者と向き合う時間を増やすことにもつながります。
しかし、ここで注意したいのが、
「AIを導入すれば業務が効率化できる」
と単純に考えてしまうことです。
AIは魔法の道具ではない
どれほど高性能なAIを導入しても、業務そのものが整理されていなければ効率化はできません。
まず、
・何に時間がかかっているのか。
・どの作業を減らしたいのか。
・どこまでAIに任せるのか。
こうした現場の課題を整理する必要があります。
AIを導入すること自体が目的になってしまえば、単に新しいツールが一つ増えるだけです。
大切なのは、
「AIを導入すること」ではなく、「現場の課題を解決すること」です。
AI時代だからこそITリテラシーが必要
介護業界では、パソコンやデジタル機器を苦手とする人も少なくありません。
もちろん、高度なITスキルが必要という話ではありません。
しかし、WordやExcelの基本操作、ファイル管理、インターネット検索、情報の比較や確認といった基本的なITリテラシーが十分でないまま、AIだけを導入しても、本当に使いこなせるでしょうか。
AIは質問すれば、それらしい答えを返してくれます。
だからこそ怖い面もあります。
本当に必要なのは、AIに質問する能力だけではありません。
AIの回答が正しいのか、自分で確認し判断する能力です。
AI時代になればITリテラシーが不要になるのではなく、むしろ重要性は高まります。
AIはもっともらしく間違える
生成AIには、「ハルシネーション」と呼ばれる問題があります。
これは、間違った情報や存在しない情報を、あたかも事実であるかのように回答してしまう現象です。
しかも、自然で説得力のある文章で回答するため、間違いに気づけないこともあります。
介護現場で、
「この症状ならどんな病気が考えられるか」
「この利用者にはどんな支援が適切か」
と質問すれば、AIは何らかの回答をしてくれるでしょう。
しかし、その回答が正しい保証はありません。
特に利用者の健康や安全に関わる判断を、
「AIがそう言ったから」
という理由だけで決めることは非常に危険です。
AIは判断者ではなく、あくまで人が判断するための補助者として活用する必要があります。
個人情報の入力にも注意が必要
介護現場では、利用者の氏名、住所、病歴、服薬情報、家族状況など、多くの個人情報を扱います。
こうした情報を、そのまま生成AIに入力してよいわけではありません。
利用するAIサービスが、入力したデータをどのように扱うのかを確認し、
・「何を入力してよいのか」
・「何を入力してはいけないのか」
というルールを事業所内で決めておく必要があります。
AI活用を進めるのであれば、便利な使い方だけでなく、こうしたリスクも同時に学ぶことが重要です。
AI導入業者にも求められること
介護事業所向けにAIサービスを提供する企業や、AI活用を支援する事業者も増えています。
こうしたサービスには大きな可能性があります。
一方で、
「AIだから簡単に使える」
「導入すれば業務効率化できる」
とだけ説明して導入を勧めるのは十分ではありません。
AIには間違いがあること。
個人情報の取り扱いに注意が必要なこと。
AIに任せてよい業務と、人が判断すべき業務があること。
こうした点まで含めて伝えてこそ、本当の意味でのAI導入支援ではないでしょうか。
AIを使いこなせれば、大きな武器になる
ここまで注意点を挙げてきましたが、AIの活用自体を否定するものではありません。
むしろ、正しく使えばAIは介護・福祉業界にとって非常に強力な道具になります。
文章作成や情報整理、資料作成などをAIに手伝ってもらい、その分、職員が利用者や家族と向き合う時間を増やす。
それこそが、介護現場におけるAI活用の理想の一つではないでしょうか。
AIに仕事を丸投げするのではなく、
AIに任せられる仕事を任せ、人は人にしかできない仕事に集中する。
そのためには、AIそのものを導入するだけでなく、使う側のITリテラシーや判断力を高めることも必要です。
CARELAYでは今後も、AIやICTをただ紹介するだけではなく、
・「本当に現場で役立つのか」
・「どんなリスクがあるのか」
・「どう使えば介護・福祉の現場をより良くできるのか」
という視点から、情報を発信していきます。
