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【介護保険最新情報 Vol.1550】預貯金確認の事務負担を軽減へ|補足給付の中間とりまとめ

厚生労働省は、介護保険の補足給付における預貯金等の確認業務について、中間とりまとめを公表しました。全国の自治体調査を踏まえ、オンライン照会の活用や通帳写しの添付省略、負担限度額認定証の有効期間を2年とする運用など、事務負担を軽減する方策が整理されています。
はじめに
2026年10月26日、厚生労働省は「介護保険最新情報 Vol.1550」を公表しました。
今回の内容は、「介護保険制度における預貯金等の把握等に係る検討の場中間とりまとめについて」です。
厚生労働省は2026年5月から、介護保険制度における預貯金確認の現状や課題を整理する検討の場を設置し、自治体へのアンケート調査などを進めてきました。
今回、その検討結果が中間とりまとめとして公表されました。
主なテーマは、補足給付の認定に必要な預貯金等の確認業務を、適切かつ効率的に行うことです。
補足給付とは?
補足給付は、所得や資産が一定の基準を満たす人を対象に、介護保険施設などの食費・居住費の負担を軽減する制度です。
正式には、特定入所者介護サービス費などの仕組みで、利用に当たっては所得や世帯の課税状況に加え、預貯金等の資産要件も確認されます。
申請を受けた市町村は、提出された資料などを基に審査し、必要に応じて金融機関への照会も行います。
令和6年度末時点で、補足給付の認定者は約85万人となっています。
全国の申請件数は約109万件
今回の調査では、全国1,574保険者を対象にアンケートが実施され、1,566保険者が回答しました。
回答率は99.5%です。
主な調査結果は以下のとおりです。
調査項目 | 結果 |
|---|---|
負担限度額認定の申請件数 | 1,094,033件 |
認定件数 | 1,042,305件 |
不認定件数 | 51,728件 |
預貯金額の変動による不認定 | 8,019件 |
金融機関に照会した被保険者数 | 34,534人 |
多くの申請を自治体が処理しており、書類確認や預貯金照会などに相当な事務負担が発生していることが分かります。
オンライン預貯金照会で回答期間を短縮
今回の調査では、金融機関への照会方法によって回答に要する期間に違いが見られました。
照会方法 | 平均回答日数 |
|---|---|
本店等一括照会 | 17.0日 |
オンライン預貯金照会 | 9.3日 |
オンライン照会のほうが、平均で約8日早く回答を得られていました。
一方、オンライン預貯金照会を利用していた保険者は198保険者で、回答した保険者全体の約13%にとどまっています。
厚生労働省は、オンライン化の利点や先行事例を周知するなどして、活用を広げることが重要と整理しています。
通帳の写しなどの添付省略も検討
現在の補足給付の申請では、預貯金等の確認のために通帳の写しなどの提出が求められます。
しかし、長期間同じ施設に入所していて、預貯金等に大きな変動がないと見込まれる場合など、毎年同じ資料を提出することが負担になるケースもあります。
今回の中間とりまとめでは、一部自治体の取組として、
通帳写しの提出を2~3年に一度とする
継続入所者について添付を省略する
過去の申請・認定状況を活用する
自己申告書などを活用する
といった方法が紹介されています。
ただし、全国一律で通帳の提出が不要になると決まったわけではありません。
実際の添付書類については、申請先の自治体の取扱いを確認する必要があります。
負担限度額認定証の有効期間を2年にする運用も
今回の調査では、29保険者が負担限度額認定証の有効期間を2年とする運用を行っていました。
そのうち27保険者が、事務負担の軽減に寄与したと回答しています。
有効期間を長くすることで、更新申請や書類発送の回数を減らせるなどの利点があります。
一方、期間中に所得や預貯金額が変化した場合の取扱いや、認定年度ごとの管理が複雑になるという課題もあります。
今回のとりまとめでは、こうしたメリット・デメリットを踏まえ、自治体ごとの実情に応じた検討が必要とされています。
すべての自治体で有効期間が2年に変更されるという内容ではありません。
介護情報基盤の活用も検討
今回の中間とりまとめでは、介護情報基盤の活用についても触れられています。
介護情報基盤は、介護保険資格や認定情報などを関係者間で共有し、事務作業の効率化を目指す仕組みです。
2028年4月1日からの本格運用が予定されています。
自治体からは、介護情報基盤を活用することで、負担限度額認定証の発行を不要にできないかという意見も出されています。
これについては、今後の介護情報基盤の運用状況を確認しながら検討する方向性が示されています。
そのほか、郵送・オンライン申請の活用や、AI・RPAによる事務入力の効率化なども紹介されています。
介護事業所や利用者への影響は?
今回の通知は、自治体の事務負担軽減に向けた中間とりまとめであり、介護事業所や利用者に新たな申請義務を課すものではありません。
ただし、今後、預貯金確認の方法や添付書類、有効期間などの運用が見直されれば、利用者や家族の申請負担にも影響する可能性があります。
特に、介護施設やケアマネジャーなど、負担限度額認定の申請を支援する立場では、自治体ごとの取扱いを確認しておくことが大切です。
CARELAY編集部コメント
介護保険の負担限度額認定は、低所得の利用者にとって重要な制度です。
一方、申請のたびに通帳の写しを準備したり、更新手続きを行ったりすることは、利用者本人や家族にとって負担になる場合があります。
介護施設の職員が、利用者や家族に代わって書類の準備や確認を支援しているケースもあるでしょう。
今回の中間とりまとめでは、自治体側の業務効率化が中心に検討されていますが、利用者・家族、そして申請を支援する介護現場の負担も軽減されることが望まれます。
ただし、補足給付は所得や資産の状況によって対象が判断される制度です。
手続きを簡素化する一方で、必要な人が適切に支援を受けられること、公平な判定が維持されることも重要です。
今後、具体的な制度や運用の見直しが進んだ際には、CARELAYでも引き続き情報を整理していきます。
参考資料
介護保険最新情報 Vol.1550
「介護保険制度における預貯金等の把握等に係る検討の場中間とりまとめについて」
厚生労働省 老健局 介護保険計画課
2026年10月26日
https://www.mhlw.go.jp/content/001763099.pdf
関連資料:
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73347.html
PDF内の資料案内
1~2ページ:事務連絡
3~5ページ:中間とりまとめの概要・目次
6~11ページ:預貯金確認事務の現状と自治体調査結果
12~17ページ:事務負担軽減の具体的な方策
18ページ以降:自治体アンケート結果・参考資料
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