業界ニュース
【介護保険最新情報 Vol.1528】薬局から高齢者施設への金品・物品提供を禁止 対象となる具体例を明確化

厚生労働省は、保険薬局が高齢者施設等へ金品や物品、サービスを提供し、患者紹介を誘引する行為について考え方を明確化しました。 配薬カートや調剤棚、施設向けシステムなどを薬局側が負担する行為も対象となる場合があり、施設・薬局双方で契約や費用負担の確認が必要です。
はじめに
2026年7月23日、厚生労働省は「介護保険最新情報 Vol.1528」を発出しました。
今回の通知は、
保険薬局による高齢者施設等への「経済上の利益の提供による患者誘引の禁止」について、具体的な考え方を改めて周知するものです。
背景には、高齢者施設等に入居する利用者の調剤を引き受ける見返りとして、施設側が薬局へ金品等の提供を求めた事例が報告されていることがあります。
今回は、どのような行為が「経済上の利益の提供」に該当するのかが、より具体的に示されました。
今回の通知で何が明確になったの?
保険薬局は、
患者を紹介してもらう対価として、施設やその職員へ金品などの経済的利益を提供し、患者を自らの薬局へ誘導すること
が禁止されています。
今回の通知では、
施設からの要求に応じて薬局が金品等を提供する場合だけでなく、
薬局側から施設へ金品や物品、サービスを提供する場合についても、患者紹介の対価であることを否定できなければ禁止対象となる
ことが改めて明確にされました。
「経済上の利益」には何が含まれる?
対象となるのは、現金の提供だけではありません。
今回の通知では、
金銭の提供
無償または安価な物品提供
無償または安価な物品の貸与
服薬管理指導とは明らかに関係のないサービス提供
第三者を介した間接的な提供
なども「経済上の利益」に含まれるとされています。
つまり、
「現金ではないから問題ない」というわけではありません。
配薬カートや調剤棚も対象に
今回、特に具体例として示されたのが、
高齢者施設等に備え付ける配薬カートや調剤棚などの什器
です。
2026年6月23日以降、こうした設備について、
保険薬局が新たに費用を負担したり、継続して費用負担したりする行為は「経済上の利益の提供」に該当する
ことが明確化されました。
これまで薬局側の負担で配薬カートなどを設置していた施設では、契約や費用負担の整理が必要になる可能性があります。
服薬カレンダーなどは対象外の場合も
一方で、すべての物品提供が禁止されるわけではありません。
例えば、
服薬カレンダー
服薬ボックス
などについて、
薬剤師が患者個人への服薬管理指導の一環として必要と判断した場合
は、薬局側の費用負担で用意しても「経済上の利益の提供」には該当しないとされています。
ポイントは、
施設への利益提供なのか、患者個人への服薬支援なのか
という違いです。
施設向けシステムの費用負担も対象
もうひとつ重要なのが、施設で使用するシステムです。
今回の通知では、
施設職員による配薬を支援するシステム
入居者の見守りシステム
などについて、
保険薬局が導入費用や利用料を負担する行為も「経済上の利益の提供」に該当する
と明確化されました。
ICTやDXが進む中で、薬局との連携サービスとしてシステム提供を受けている施設では、費用負担の仕組みを確認しておく必要があります。
既存の契約には経過措置
今回の考え方は2026年6月23日から明確化されています。
ただし、それ以前からすでに薬局が継続して費用を負担していたものについては、一定の経過措置が設けられています。
2026年6月23日時点ですでに継続的な費用負担が行われているものについては、2027年5月31日まで
「経済上の利益の提供」には該当しないものとして扱われます。
そのため、既存契約がある施設では、
2027年5月31日までに今後の費用負担や契約方法を整理する必要があります。
対象となる高齢者施設は?
今回の通知では、主に次のような施設が対象として示されています。
特別養護老人ホーム
介護老人保健施設
介護医療院
サービス付き高齢者向け住宅
有料老人ホーム
養護老人ホーム
軽費老人ホーム
などです。
介護保険施設だけでなく、住宅型の高齢者施設も含まれている点に注意が必要です。
事業所への影響は?
今回の通知は、薬局側だけでなく高齢者施設側にも重要です。
現在、連携している薬局から、
配薬カート
調剤棚
見守りシステム
配薬支援システム
その他の設備やサービス
などについて、無償提供や費用負担を受けている場合は、
その提供が患者紹介の見返りと評価される可能性がないか確認する必要があります。
また、
「入居者の処方をこの薬局にまとめる代わりに設備を提供してもらう」
といった関係は、今回の通知上、特に注意が必要です。
施設側から薬局へ金品や設備の提供を求めることも避ける必要があります。
まず確認しておきたいこと
現在薬局と連携している施設では、
薬局から無償提供を受けている設備はないか
システム利用料を薬局が負担していないか
施設への寄付や値引きがないか
利用者の薬局選択と提供条件が結びついていないか
2026年6月23日以前から続く契約があるか
を確認しておくとよいでしょう。
特に経過措置の対象となる既存契約は、2027年5月31日までに整理できるよう、早めに薬局側と協議しておくことが重要です。
CARELAY編集部コメント
今回のVol.1528は、薬局に対するルールの周知というだけではなく、高齢者施設側にも確認が必要な通知です。
これまで「薬局との連携サービス」として当たり前に行われていた設備提供やシステム費用の負担でも、患者紹介の対価と判断される可能性があります。
一方で、患者個人の服薬支援として必要な服薬カレンダーなどは対象外とされており、
何でも禁止されるわけではありません。
重要なのは、
「その利益は患者本人の服薬支援のためなのか」
「施設への利益提供になっていないか」
「薬局への患者紹介と結びついていないか」
という視点です。
薬局との連携自体を萎縮させるのではなく、費用負担や役割分担を明確にしたうえで、適切な連携を続けていくことが大切です。
参考資料
介護保険最新情報 Vol.1528
https://www.mhlw.go.jp/content/001727399.pdf
CARELAYのご案内
CARELAYでは、介護・医療・福祉業界の最新情報をはじめ、事業所運営や地域連携に役立つ情報を発信しています。
また、介護・福祉事業所の検索や情報発信、事業所間の交流・連携など、地域の介護・福祉をつなぐさまざまな機能をご利用いただけます。
事業所情報の登録・基本機能は無料です。
▶ CARELAYを利用する
(CARELAY URL)
