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【介護保険最新情報 Vol.1530】車椅子のまま送迎する際の事故に注意 固定とシートベルトを再確認

厚生労働省は、車椅子使用者を自動車で送迎中に発生した事故について、消費者庁の経過報告を介護事業所へ周知しました。 介護サービスにおける送迎事故では死亡事例も確認されており、車椅子の固定方法やシートベルトの装着をあらためて確認する必要があります。
はじめに
2026年7月30日、厚生労働省は「介護保険最新情報 Vol.1530」を発出しました。
今回の通知は、
消費者庁消費者安全調査委員会が公表した、
「車椅子使用者を自動車で送迎中の事故に係る事故等原因調査について(経過報告)」
を介護施設・事業所へ周知し、事故予防や未然防止に役立てるよう呼びかけるものです。
特にデイサービスやデイケア、施設の通院送迎など、車椅子に座った状態で利用者を送迎する事業所では確認しておきたい内容です。
送迎中にどのような事故が起きているの?
消費者庁の経過報告では、2019年から2025年までの7年間に、
車椅子使用者を自動車で送迎中に発生した事故が49件
確認されています。
そのうち死亡事故は30件でした。
また、介護サービスに関係する送迎事故は34件で、そのうち24件が死亡事故とされています。
事故件数は、確認できた情報をもとに集計されたものであり、実際にはさらに多くの事故が発生している可能性もあります。
事故は衝突時だけではない
車椅子使用者の送迎事故というと、交通事故や車両同士の衝突を想像しがちです。
しかし、実際には、
発進時
急発進時
ブレーキ時
急ブレーキ時
右左折時
交差点での衝突時
電柱などへの衝突時
など、さまざまな場面で事故が発生しています。
急ブレーキやカーブだけでも、車椅子が固定されていなかったり、利用者の身体を適切に保持できていなかったりすると、転倒や車椅子からの滑落につながります。
車椅子の固定が不適切だった事故
介護サービスにおける送迎事故34件のうち、
車椅子の固定が適切に行われていなかった事故が8件
確認されています。
経過報告では、
車椅子を4か所のフックで固定する必要があったにもかかわらず、職員が固定を忘れ、交差点を右折した際に利用者が車椅子ごと転倒した事例が紹介されています。
別の事例では、車椅子の固定方法に不備があり、走行中に車椅子ごと後方へ転倒し、利用者が死亡しています。
シートベルトの装着が不適切だった事故
シートベルトの装着が適切でなかった事故も、
9件
確認されています。
事例として、
車椅子は車両に固定したものの、利用者へのシートベルト装着を忘れた
シートベルトが車椅子の手すりの上を通り、身体との間に隙間ができていた
ブレーキ時にシートベルトの下をすり抜けて転落した
といった事故が報告されています。
単に「ベルトを着けたか」だけではなく、
正しい位置を通し、身体を適切に保持できているか
まで確認する必要があります。
車椅子の固定と身体の固定は別
送迎時には、次の2つを分けて考える必要があります。
車椅子を車両へ固定する
車椅子そのものが動いたり、倒れたりしないように、車両に備え付けられた固定装置で確実に固定します。
4点フック方式やドッキング方式など、車両や車椅子によって固定方法は異なります。
利用者の身体をシートベルトで保持する
車椅子を車両に固定しても、利用者の身体を守ることはできません。
利用者には、車両側に設置されたシートベルトなどを正しく装着する必要があります。
車椅子の腰ベルトだけでは、自動車用のシートベルトの代わりにはなりません。
取扱説明書どおりに固定できているか
車椅子の固定方法は、車両や固定装置によって異なります。
そのため、
車両の取扱説明書
固定装置の説明書
車椅子の説明書
販売店やメーカーからの案内
を確認することが重要です。
固定方法が分からない場合に、現場の経験や自己流だけで対応するのは危険です。
送迎車ごとに固定方法を整理し、運転担当者だけでなく、添乗する職員も同じ手順で確認できるようにしておきましょう。
送迎前のダブルチェックを
事故防止のためには、送迎前に少なくとも次の点を確認する必要があります。
車椅子を正しい位置で固定したか
必要な固定箇所をすべて固定したか
フックやベルトに緩みがないか
利用者へ自動車用シートベルトを装着したか
ベルトがアームレストや車輪に妨げられていないか
腰部ベルトが腰骨の低い位置に密着しているか
姿勢が崩れたり、ベルトの下をすり抜けたりする危険がないか
可能であれば、固定した職員とは別の職員が確認するダブルチェックを導入すると安心です。
「いつも同じ利用者だから」が危険
送迎業務は毎日繰り返すため、慣れによって確認が省略されやすい業務でもあります。
しかし、
利用者の体調
座位保持能力
車椅子の種類
クッションや防寒着
乗車する車両
担当する職員
が変われば、安全な固定方法や必要な配慮も変わります。
「いつも問題なかった」という経験ではなく、毎回確認する仕組みが必要です。

ヒヤリハット情報も活用を
厚生労働省は、テクノエイド協会が公開している、
福祉用具の事故・ヒヤリハット情報
もあわせて参考にするよう案内しています。
実際の事故やヒヤリハット事例を職員研修で共有し、自事業所の送迎方法を見直す材料として活用できます。
事業所への影響は?
今回の通知は、特に次の事業所で確認が必要です。
通所介護
地域密着型通所介護
認知症対応型通所介護
通所リハビリテーション
短期入所サービス
特別養護老人ホーム
介護老人保健施設
介護医療院
有料老人ホーム
訪問介護などで車両送迎を行う事業所
送迎車両、固定装置、車椅子の組み合わせごとに、正しい使用方法を確認しておきましょう。
CARELAY編集部コメント
送迎業務では、運転技術や交通安全だけでなく、
車椅子を固定し、利用者の身体を正しく守ること
も重要です。
車椅子を固定しただけで安心してしまったり、シートベルトを形だけ装着したりしていては、急ブレーキや右左折でも重大な事故が発生する可能性があります。
また、事故防止を個々の職員の注意力だけに任せるべきではありません。
写真付きの手順書、送迎前チェックリスト、定期的な実技研修、ダブルチェックなど、誰が担当しても同じ水準で確認できる仕組みが必要です。
今回の通知を機に、一度すべての送迎車と固定装置を確認してみましょう。
参考資料
介護保険最新情報 Vol.1530
https://www.mhlw.go.jp/content/001730818.pdf
消費者庁
「車椅子使用者を自動車で送迎中の事故に係る事故等原因調査について(経過報告)」
公益財団法人テクノエイド協会
「福祉用具『事故・ヒヤリハット』情報」
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